私は一人目の子どもを自然分娩で、二人目を無痛で産みました。2つの出産方法を経験してみて、感じたことをお話しします。出産方法でお悩みの方に、少しでも参考になりましたら幸いです。
一人目に自然分娩を選んだ理由
一人目を自然分娩で出産した一番の理由は、自分の母親と同じ出産方法を一度は経験してみたかったから。また、当時は周りに無痛で産んだ人がほとんどおらず、「無痛は特別な産み方で、自然分娩が一般的」と思っていたこともあります。そして、なるべく医療の力を借りずに自然に産む方がよいのでは、と漠然と思っていました。
自然分娩で産んでよかったこと
出産した瞬間の達成感は、自然分娩の方が強く感じました。10ヶ月の妊娠期間の最後に待つ、苦しい陣痛。私は陣痛の時間が比較的長かったこともあり、赤ちゃんが出たときの開放感と達成感は、すさまじかったです。産んだ瞬間に感じたのは、感動というよりも、やっと終わった!という開放感でした。
出産後はメンタルが強くなったと感じます。普段私はおとなしい方(自称)なのですが、出産のときには、大声で叫んだり、助産師さんにしがみついたり、夫を怒鳴りつけたり、理性的ではない行動の数々。痛みのせいで本能がむきだしになって、ああ、人間も動物なんだなと実感。出産を乗り越えると、もう恥ずかしいことなんてないや、という気になり、ちょっとしたことは気にならなくなりました。
また、出産エピソードが濃いのも自然分娩の特長でしょうか。第一子の誕生日になると、あーこの時間はまだ陣痛室でウイダーinゼリー飲んでたかなー。ママしんどかったんだよー。と、つい話してしまいます。迷惑だよねと思いつつ。何せしんどかったもので、細かいことまで濃厚に記憶に残っているのだと思います。ママ友たちと話していても、出産経験談が濃いのは自然分娩。
自然分娩で残念だったこと
母親と同じ出産方法ということで自然分娩を選んだ私。これはそんなにこだわらなくてもよかったかなと思います。「出産ってこんなに苦しいんだね、お母さん私を産んでくれてありがとう!」…と思うことは思いましたが、親への感謝の気持ちは出産時よりも、その後の育児の日々で、ひしひしと感じています。子育ての大変さを通して、親への感謝の気持ちが強くなっている感じです。
自然分娩のデメリットは、言うまでもなく陣痛の痛み。自分の感情が「痛い」でいっぱいになってしまい、冷静に出産過程を楽しめなかったかなと思います。産まれてくる赤ちゃんに思いを寄せたり赤ちゃんを応援する余裕は残念ながらありませんでした。
私は陣痛が長時間におよび、体力を消耗。気力もなく弱気になってしまいました。このままでは最後まで頑張れないということで、陣痛促進剤を使用しました。できるだけ医療の力を借りずにと選んだ自然分娩ですが、結局は母子の安全のために促進剤を使うことになりました。
二人目に無痛分娩を選んだ理由
陣痛が長く、体力的にも精神的にも辛かった一人目の妊娠。陣痛を恐れながら妊娠期間を過ごすのは精神的にもよくないと思い、二人目は無痛分娩にしました。また、周りにも無痛で出産した友人が増えてきて、「快適だった」という声をよく聞いていたことも後押しとなりました。
無痛分娩でよかったこと
とにかく痛くない!これにつきます。好きな音楽を聴いたり、夫と話をしながら穏やかな気持ちで赤ちゃんを待つ時間は、とても幸せでした。
そして、麻酔が効いていても骨盤のあたりに赤ちゃんが降りて来る感じは分かるので、「赤ちゃんがんばれ!」「早く会いたい」と、赤ちゃんを慈しみながら、愛情を持ってお産にのぞめました。
産後の会陰縫合も全く痛くない。自然分娩のときも縫ったのですが、痛くて痛くて。先生が「もう八号目だからねー」と励ましてくれたのですが、「その山は下りもあるんですか!?」と半ギレで聞き返したほど。産後の処置まで含めて痛くないというのは、とっても快適でした。
体力も第一子のときほど消耗しておらず、産後の授乳もスムーズでした。
無痛分娩で残念だったこと
これは病院で詳しくお聞きいただくことかと思いますが、無痛分娩にはいくつかリスクがともないます。麻酔による発熱やかゆみ、頭痛が起こる可能性がある、お産の進みが遅くなり、促進剤や吸引が必要になることもある、など。私は特に麻酔の副作用もなく、お産もスムーズに進んだので、どれも経験しませんでした。リスクもあるということをお医者さんによく説明いただいて、ご検討ください。
また、病院によると思いますが、無痛分娩は追加費用となるところがほとんどかと思います。私が出産した成育医療センターは、通常の分娩費用に加えて12万円でした。
>>無痛分娩の体験レポートはこちらに書いています。
自然分娩か無痛分娩かで迷ったら、当日決めるという手も
陣痛を経験したことのない初産婦の方の中には、自然分娩にするか、無痛にするか、迷っている方も多いかと思います。もしかしたら、自分は陣痛に耐えらるタイプなのかもしれないし。成育医療センターでは、無痛の準備だけしておいて、陣痛が来てから決めるということができます。その場合も、実際に麻酔を開始しない限り、無痛費用は発生しないとのこと。
また、成育の無痛分娩は、妊婦が自分で痛みをコントロールするPCAポンプというものを使用します。妊婦がボタンを押すたびに、麻酔が注入されるというもの。ある程度痛みを感じながら分娩をしたいのであれば、自分でボタンを押す頻度をおさえればいいというわけです。
このような病院もあるので、迷っている方は選択肢に入れるのもひとつかと思います。
お腹を痛めた子はかわいい、は本当か?
無痛を考えている方は、「お腹を痛めて産んだ子」とか「産みの苦しみ」といった言葉に、少しの後ろめたさを覚えるかもしれません。あたかも、無痛は甘えで、痛みに耐えてお産をしてこそ我が子はかわいい、といったニュアンス。
そのような言葉は、きっと無痛分娩がない時代にできたのでしょうね。私にとって、痛みに耐えながら産んだ上の子も、赤ちゃんを慈しみながら無痛で産んだ下の子も、もちろんどちらもかわいく、かけがいのない大事な子どもです。出産方法によって、愛情の深さが変わることなど、ありえません。二人の子どもを両手に抱えて抱きしめていると、もう人生のピークかしら、と毎度思います。
自然分娩、無痛分娩、帝王切開、自分の望む出産方法ができなくて落ち込むママさんもいるかもしれません。また、周りの人から出産方法に意見されて悩むこともあるかもしれません。でも大事なのは産んだ後。我が子を世界一幸せにすると決めたなら、産み方に引け目を感じることはありません。
例えば、結婚式を神前式にするか教会であげるか。どちらを選んでも、結婚することには変わりなく、どちらを選んでも夫婦の愛情は変わらないでしょう。結婚式は大事な節目ですが、あくまで通過点であり、その後の結婚生活の方がはるかに大事であることは確か。
母乳かミルクか、専業主婦かワーキングマザーか、学校は私立か公立か…。子育ては選択の連続で、大事な我が子のために最善の道を選びたいからこそ、大いに悩みます。でも、大事なのは命を守ること、愛情深く育て続けること。長い長い子育てのそれぞれの通過点。どんな選択であれ、そこに愛情がともなっていればだいじょうぶ!と私は思っています。
よいお産になりますように!